〝つなげよう〟教えを次世代へ

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『声は消えても心のそこに きいたコトバが生き残る』

「正直の頭に神宿る」と云う言葉も、此の頃は遠い昔になってしまった様に、私達の耳に入って来なくなりました。現実はそれ程複雑になったのでしょう。何が本当で何が嘘か、容易に分からなくなってしまいました。しかし、あらゆる事の中に真理と言うものは御座います。

真理と言うものは、簡単なものであり、その心理と言う筋金に、難しい嘘や、ややこしい誠や、あらゆるものが取りまいて、現実は動いている様で有ります。人々は、その表面の動きの断片ばかりを捕えては、世の中の矛盾を嘆き、そして又自分自身を裏切っては、嘘を言うのであります。

一つの嘘を言う時、必ず又次の嘘が自分を待っています。仕方が無いという口実は、やがて当然であるという文句に変り、そして次第に良心は汚れ、益々真理と言うものの見る目を、失って行くのであります。

世の中ではとかくすると、正直や誠実が批判される様に見える事が有りますが、しかしそれは、正直や誠実そのものが批判されるのではなく、それが狭い視野に覆われたり、聡明な観察を欠いたりする為であります。正直や誠実と言うものは、世の中において、最も尊いものであると同時に、又最も当然なものであります。もしこれを失う時、人間としての資格さえ失う事になると言っても、過言ではない様であります。正直であってこそ信用が得られ、又正直であってこそ、人の愛情と言うものが得られます。又正直な目を持ってこそ、世の中の真理がわかります。


合 掌

初代管長 泉 波 秀 雄